ロックと着物、情熱と青。

ヒカリシオコシ。着物好きのロック教。

I STAND ALONE

 

実は今日。

 


何の気なしに、嫌、違うな。

 


たまたまだ。たまたま、2年前に住んでいた土地に行った。

 

たまたま、用があって。

 


専門学校を卒業してすぐ引っ越してきて、新しい土地での暮らし。社会人になって、初めて住んだ。

 


事も済み、地下鉄に乗って帰れば良いだけの、それだけのことだ。

 


しかし、本当に如何仕様も無く、無性に、住んでいたアパートを拝みたくなったのだ。

 

この目で、この脳で。


大分、古かった。


変わりないだろうか。まだ在るのだろうか。

誰かが住んでいるのだろうか。

 

私が探しているものも、あるのだろうか。

 

そんな戯れ言を思いながら、かつての帰路に足を向く。


地下鉄の駅からの行き方も、何もかにも、忘れてはいなかった。

 


何一つとして、変わってはいなかった。

 


あの小学校もゴミ捨て場も横断歩道もパーマ屋も。

 


昔住んでいたアパートも。

 

 

 

 

 

 

一番上の階。

 

窓が二つ、一つはカーテンがしてある。

もう一つはしていない。

 

(どっちだったかな…)

 

期待などではない。期待だったとしても、何方への期待か。

 

何を考える間も無く、上階へ続く外階段へと進む。

 

登る。

 

(オートロックじゃないんですよね、怪しいものじゃあ、ありません。)

 

そんなくだらないことを思いながら。

 

登る。

 

外階段からは、部屋の反対側の窓が見える。

 

緊張する隙を許さず、待たずして、窓を見やる。

 

差し込む日差しが余りに明るい。

 

 

はっきりと見える。

 

誰もいない。

 

カーテンはおろか、何一つ物がない。

 

がらん。

 

おそらく、私が出て2年。

 

誰も住んでいないのだろう。

 

しばしの間、外から窓を通して部屋の中を眺めた。

 

よろしくない、願望が、私を支配する。

 

馬鹿らしいことだ。

でも、いや、もしか、と思ってノブに手をかけた。

 

開いた。

 

いとも簡単に。

 

 

(今、冷静に考えると。

大丈夫なんだろうか?)

 

 

見つかったら、やばいか、とか、一応考えた。

 

 

 

 

少しだけ、躊躇した。

 

 

 

 

でも、どうしても会いたかった。

 

だから、こうして、此処に来たのだ。

 

少しだけ、会いたい。

 

 

 

 

誰に?

 

あの日の、

 

自分か?

 

あの日の。

 

 

 

 

少しだけ、躊躇した。

 

 

 

 

 

 

 

あの日のまんまだった。

 

 

 

 

 

中に入ると、

 

 

 

 

 

私が住んでいた時の、そのまま。

 

 

 

 

 

あの日から、ずーっと時が止まっているようだった。

 

 

 

 

美しかった。

 

 

 

 

美しい、と思ってはいけない。

本来ならば。

 

 

 

 

懐かしい、という感情などは生まれない。

 

何故か。

 

ずーっと私の側にいたからだろう。

 

 

 

あの日、あの時。

 

 

 

此処に住んでいた時、色々なことがあった。

 

 

めちゃくちゃ蟻が出た。

 

めちゃくちゃ殺した。

 

アースジェットで。

 

そのたんびに、ガス警報器が鳴った。

 

新聞屋の営業に負けてた、毎回。

 

その都度貰う米で生活してた。

 

鍵をヨーカドーに落として鍵の救急車を呼んだ。

 

三万が飛んでいってた。

 

あの時は、一年に3回くらい携帯ぶん投げて壊してた。

 

死にたいくらいに好きな人がいた。

 

そして、死にたいくらいの失恋をした。

 

本気で、死のうかと思った。

 

はじめて、セックスをした。

 

他人のままで、抱き合った。

 

 

 

あの日、あの時。

 

 

 

まだ、少しだけ未来を信じて、夢を愛して、可愛げがあっただろうか。

 

言われそうだ。

 

変わってねえよって。

 

蹴飛ばして開けたドアの穴もそのまんま残っていた。

 

電球が切れたまま使っていた、トイレ。

 

確かめたかったけど、流石に無理だった。

 

 

 

 

 

 

色んな記憶が一気にフラッシュバックして、一気にomoide in my head状態に陥った。

 

 

 

美し過ぎて、

何故に自分が此処に来たのか。

何故に此処に入れたのか。

何故にずっと忘れられなかったのか。

 

考える間も無く、唯、呆然と、立ち尽くしていた。

 

 

 

ずっと気になっていた。

 

私が出て行ったあの部屋は、誰かが住んでいるのだろうか。

 

住んでいたとしたら、どんな人だろうか。

 

男かな、女かな。

 

私が過ごしたあの日々は、あの感情は、もう、あそこには無いのだろうか。

 

もう二度と、会うこともなく、戻れないのだろうか。

 

 

 

 

 

現実、何一つとして変わらず、あの日のまま、存在していた。

 

ほっとしたような、でも、絶望にも似ている。

 

けれども、今、時は春。

 

別れを告げ、終わりを知り、絶望しながら、前に進まねばならぬ季節。

 

私は泪を流すでもなく、飲むでもなく。

 

さようなら。

 

その一言だけを残して、立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道。

 

私が耳をイヤフォンで塞いで、大音量で聴いた曲は、

 

I stand alone

 

我起立唯我一人

 

https://youtu.be/acmgYbwiIJc

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全然話変わるんですけど。

 

さっきからね。

 

私以外誰もいないはずの。

 

はずの。

 

部屋でめっちゃ物音がしておりますです。

 

気配を感じます。

 

視線を感じます。

 

まあ、これは、あれですね。

 

よくあるやつです。

 

あれです。

 

おばけです。

 

あとはもう、これは。

 

生きている者か、死んでいる者かだけの違いですね。

 

おばけです。

 

でも怖くはないです。

 

午前1時3分前。

 

怖くはないです。

 

以上。現場からでした。 

 



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こういう天気が最高に好きなの。

 

 

 

 

 

というか、寝ちゃったから昨日の話ね。

昨日?今日の夜中?わけわからん。

 

さらば🐧