晩秋とは名ばかりの、追憶の夜もすがら。
例えば、今かな瞬間に、頭上に隕石が落ちてきたとして。
そんなことを夜空を見上げて考えた。
帰路。
綺麗なミッドナイトブルーだった。
金色の月は雲隠れ。
そう、雲が多い。
冬にしては珍しい。
否、晩秋の風は思っていたよりも生やさしい。
そんな中で例えば、隕石が落ちてきて吹っ飛んだとしたら、そうして死んだら
私はそれでも、もしかしたらそれでも、幸せなのかもしれない。
金もなければ、恋人もいない。
やりたいことだらけ、今死んだとすれば、やり残しが山積みだろう。
それでも、今死んだとしたら、
幸せな気がする。
死にたいわけじゃない。
ただ、
隕石が落ちてきたとしてもね。
幸せだと思えるような気分だ。
人生は短い。
花盛りも一瞬。
そして、夏は一度しか来ない。
人は絶対、必ず死ぬ。
50年だろうが、100年だろうが。
その一瞬を生きなければいけない。
この世は下界。
この世は苦界。
それでも花を咲かせねばなりませぬ。
咲かない花などないと信じなければならないのです。
そんな下界は今日も美しい。
美しく、ありたいです。
死ぬ間際まで。